まったく最近の探偵ときたら

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全盛期を過ぎ明らかに衰えている元名探偵(南雲)と女子高生の助手(真白)の話。

ストーリーに関しては特に言うことはない。というのも多くの話が真白のフィジカルで解決するからだ。

イケメン高校生探偵、発明家、怪盗、乳首試食おじさん等強烈な個性のキャラクターが頻発するがそれでも真白の個性には負けてしまう。

ここまで書くと某鼻毛漫画のように勢いが強過ぎて好みが分かれると思うかもしれないが、この漫画は勢いで笑えながらもロジカルな会話劇でも笑えてしまうし、絵でもしっかり笑わせられる。そして、ギャグ漫画で意外と重要な要素の女の子キャラのかわいさも問題なく備えている最強の漫画なのだ。

掲載誌があまりメジャーどころではないが間違いなく名作なので是非読んでほしい。

 

おとうふ次元

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「隣の関くん」の森繁拓真先生が原作。

未来人が現代の日本に来たが事故で未来に帰る事が出来なくなり迎えを待ちながらバタフライエフェクトを起こさないよう静かに現代日本で暮らす。といったストーリー。

1話完結型であり読みやすさも魅力のひとつ。

未来の変動率が主人公には可視化出来るようになっていると言うギミックのおかげで現代人と関わる際否応なしに対応に迫られる。

次第に現代でも知り合いができ、大人しく暮らすという目標を持ちながらも色々な事に好奇心を持ってしまう主人公も愛らしい。

意外にも最後はしんみりするのも完成度の高さを感じる。

集めづらいかもしれないが是非読んでもらいたい。全3巻というのも読みやすくてよい。

ちなみに主人公の名前をここで書かなかったのも理由があるので確認してほしい。

ひゃくえむ

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最初は何にしようか迷ったけれど「ひゃくえむ」について書きたいと思う。

そもそも私は才能が題材になっている作品が大好きだ。「ピンポン」しかり天才の葛藤・孤独の描写が堪らない(当然その後のカタルシスありきの話しだが)

さて、「ひゃくえむ」だが内容としては100m走の天才である主人公トガシは小学生の頃小宮と言う気の小さな少年と出会う。トガシは彼の面倒を見て走り方を教えてあげるが次第に彼の不気味と言えるほどの走る事への執着に気づく。その後2人は別れるのだが・・・。

前述したがこの漫画は才能が題材になっている。諦めた天才・自分を疑わなかった天才・信じるしかなかった天才。

ただ天才たちは結局諦めない。彼らを支えるのは応援してくれる人ではなくかつて天才であったと言う自負のみだ。人の為ではなくただ自分の為に走る。天才というのは自分のために諦められない凄まじいナルシシズムとそれを実現できる能力を持っている人を指すのかもしれない。

とりわけ作者はそこを描くのがあまりにも上手い。そしてとにかく熱い。もしかしたら漫画にはヒロインなんていらないのかもしれない。ただ自分の才能をこよなく愛する者が集まって、泥臭く自分に執着する自分を愛して嫌ってまた愛してただそれだけでいいのかもしれない。

対人関係がなくとも自分との葛藤で随分と深くまで描けるものだと改めて思い知らされた。

さて、ここまで内容にはほとんど触れていないがネタバレなく私の思う魅力を書き連ねるのが目的なので許してほしい。

作者の短編で「佳作」と言う作品があるがこれはさらに明確に才能を描いているのでこれも合わせて読んでほしい。というより今読むなら新装版以外選択肢にないので読む事になるとは思うが。もちろん「チ。」 もおすすめだ。魚豊先生の次回作に期待して今回は終わろうと思う。